行動経済学で考える株価が理論価格から離れてしまう理由

市場で売買される株式は、理論的に導かれる理論価格が存在します。しかし、ここでいう理論価格とは、市場が効率的に動くと仮定されたものがほとんどです。実際の市場では誰もがみんな合理的な投資判断に基づいて行動を行なっているわけではありません。よって理論価格と実際の株価の間には乖離が生じてしまうのです。

今回は、なぜこのような乖離が発生してしまうのかということについて、人間の行動から経済を読み解く行動経済学の観点から考えたいきたいと思います。

株式市場

ここでは株価の形成を考えるにあたってクローズドエンド型の投資ファンドの株式を例に出します。

オープンエンド型

普通の投資信託。お金を預けて売るときは買い戻してもらいます。

クローズドエンド型

市場で売買される投資信託。証券取引所を通して信託受益権の単位を購入します。売るときは市場価格で売却します。

市場価格はファンドの純資産価値から離れることがあります。小さい場合をディスカウント、大きい場合をプレミアムが付くと言います。

ディスカウントとプレミアム

予想される成績が悪そうなファンドは割引されて、予想される成績が良さそうなファンドは割高で取引されるます。

理論価格よりも株価が安い場合をディスカウント、理論価格より株価が高い場合をプレミアムが付いていると言います。

なぜディスカウントやプレミアムが発生してしまうのでしょうか?

売却制限付きの株式保有説

ファンドが売りたいときに自由に売れないような流動性の低い資産を持っている場合、その資産の価値が実際より割高に評価されている可能性があるので、ファンドの市場価格と純資産価値の差異を説明できるのではないか?

と考えるのが売却制限付きの株式保有説です。

要は、そのファンドが持っている資産が市場で転売しにくいものだったら、理論価格よりもマイナスの評価に繋がるということです。

売りたいときに売れないのは、本当はディスカウントされるべき要因であると考えられます。( 身近な例は定借物件です。2年と決められたら2年間は解約できません。その条件がついてるから普通の賃貸よりも安く住めます。)

税金説

 ファンドのキャピルゲインにかかる税金は保有者が負担します。

例えば、既に含み益が既に多いファンドを買ったとすると、そのファンドが資産を売却して利益を確定させたときに発生する税金は保有者が負担するのでファンドが資産を売った時に保有者になっていた人は税金を取られます。

このように取られる税金のリスクを考えるとファンドにディスカウントが生じる理由となるのでは?

と考えるのが税金説です。

投資家感情説

合理的なトレーダー はファンダメンタルに基づくリスク回避的な投資を行います。

しかし非合理的なノイズトレーダーと呼ばれる投資決定に非合理的な要素を用いる投資家が必ず存在します。ノイズトレーダーとは、あるときは非常に楽観的であり、あるときは非常に悲観的になるような非常に非合理的な判断基準を持っている人たちです。

このノイズトレーダーの存在は市場を揺れ動かすため、ノイズトレーダーの存在する市場ではさらなるリスクが生まれます。ちなみにクローズドエンド型ファンドはノイズトレーダーが多く参加するのでこのリスクが高いと考えられています。(とりあえず日経225買っとけ的な感じの人達)

ディスカウントは合理的なトレーダーに対してこのノイズトレーダーリスクをヘッジするために設定されるのではないか?

というのが投資家感情説です。

裁定取引

ところでディスカウントやプレミアムが付いたファンドと原資産の間で裁定取引を行えばぼろ儲けできるのでは?

  1. 現実的にファンドの空売りは難しい。
  2. 追加の証拠金リスクが高い。
  3. 取引コストが高い。

といった理由から必ずしも儲かるとは言えません。

しかし、すでに大幅なディスカウントがあり、今後そのディスカウントの幅が小さくなっていくと予想されるファンドを買うとある程度の超過リターンを得られるという結果が出ています。

まとめ

行動経済学の立場から考えると

  • 売却制限付きの株式保有説
  • 税金説
  • 投資家感情説

以上のような理由で株価は理論価格から離れてしまうと考えられます。