投資

ヨーロピアン・オプションを応用したアメリカン・オプションの価格の求め方

オプション取引は、満期時点で権利行使することができるヨーロピアンオプションと、満期前にいつでも権利行使することができるアメリカンオプションがあります。

基本的に日本の市場で取引されているオプションは、満期時点で権利行使ができるヨーロピアンオプションです。

ヨーロピアンオプションの価格決定理論はありふれているので、今回はあえて満期前にいつでも権利行使できるアメリカンオプションの価格決定についてご紹介します。

オプションとは

オプション取引は原資産を将来に買ったり売ったりする権利自体の売買です。

 オプションは基本的に以下の2種類に分類することができます。

コールオプション

原資産を将来に買う権利を売買する商品。

プットオプション

原資産を将来に売る権利を売買する商品。

オプションを含むデリバティブの仕組みや損益図を確認したい方はこちらの記事がおススメです。

オプションはオプション料と呼ばれる価格で市場で取引され、この価格は権利のプレミアム分の価値があります。よって人気がある価格帯や銘柄などによってオプション料が異なります。

リスク中立確率

例えば、原資産価格1000円のコールオプションがあったとして、リスクフリーレートは1%、将来時点における原資産価格が1200円もしくは900円になっている場合を仮定します。

ここからまずはリスク中立確率を求めます。リスク中立確率の詳しい内容についてはこちらの記事を参照してみてください。

1000 = (1200 * p + 900 * (1-p)) / (1.01)

のpを求めると0.3366=約34%の確率で上昇シナリオが発生すると考えられます。逆に下落シナリオは66%の確率で発生すると考えられます。ここまでは投資の成功確率を計算する過程ですが、これをオプション価格の決定につなげるにはどのようにすればよいでしょうか?

オプション価格

オプション価格は将来に期待されるネットキャッシュフローにリスク中立確率を掛けたものをリスクフリーレートで現在価値に割り引いた物に当たります。

このオプション取引の行使価格(実際に将来時点で買ったり売ったりできる価格)は1100円であったとします。

コールオプションの場合、上昇シナリオが発生すればキャピタルゲインは100円、下落シナリオが発生すれば権利行使を行わないのでキャピタルゲインは0円になります。同様にプットオプションの場合、上昇シナリオが発生すれば権利行使を行わないのでキャピタルゲインは0円、下落シナリオが発生すればキャピタルゲインは200円だと考えられます。このそれぞれの数値がオプションの価格評価の元となります。

ここではコールオプションの場合を想定して考えていきましょう。このオプションの価格を求めるためには、

((上昇シナリオのキャピタルゲイン × 上昇シナリオのリスク中立確率) + (下落シナリオのキャピタルゲイン × 下落シナリオのリスク中立確率)) / (1 + リスクフリーレート) で求めることができます。

この例では、

(100 × 0.34 + 0 × 0.66) / 1.01

でオプション料の価格が求められます。実際に求めてみるとこのオプションは33.66円であるということがわかります。よってこのオプションは33.66円で市場で売買されていて、この原資産をこの行使価格でオプション取引するためには33.66円の価値があるということが分かります。

アメリカンオプション

今書いた内容は全て満期時点でしか権利行使ができないヨーロピアンオプションの価格決定理論に当てはまります。今回のテーマはアメリカンオプションの価格決定ですので、この方法を少し応用してアメリカンオプションのオプション価格も求めてみましょう。

アメリカンオプションの場合、なにが問題なのかというといつでも権利行使ができてしまうため権利行使のタイミングを固定して考えることができないということです。先ほどの例を拡張して原資産の価格変動に段階が2つあるとします。

例えば、1年後に原資産価格は1100円か900円になっていて2年後には1300円、1000円、600円になっているという場合を想定します。

ヨーロピアンオプションの場合2年後の価格にリスク中立確率をかけた値をリスクフリーレートで割り引いて、そこで計算された値にリスク中立確率を掛けて、もう一度リスクフリーレートで割り引くと現在価値に直せます。

ここでは、

1年後の上昇シナリオ = 1年後が上昇シナリオかつ2年後の上昇シナリオのキャピタルゲイン × リスク中立確率 +  1年後が上昇シナリオかつ2年後の下落シナリオのキャピタルゲイン × リスク中立確率 / 1 + リスクフリーレート

1年後の下落シナリオ = 1年後が下落シナリオかつ2年後の上昇シナリオのキャピタルゲイン × リスク中立確率 +  1年後が下落シナリオかつ2年後の下落シナリオのキャピタルゲイン × リスク中立確率 / 1 + リスクフリーレート

オプション価格 = 1年後の上昇シナリオ × リスク中立確率 +  1年後の下落シナリオ × リスク中立確率 / 1 + リスクフリーレート

しかし、アメリカンオプションの場合、1年後の時点でオプション保有者にとって都合のいい状態ならその場で権利行使を行うことができます。

アメリカンオプションでは1年後に権利行使される場合は、その時点のキャピタルゲインを1年後の評価額として計算し、権利行使されない場合は、1年後にまで割り引いた値を評価額とします。

仮に2年後の価格を割り引いた1年後の価格が上昇シナリオの時に100円、下落シナリオの時に20円であり、1年後に想定されるシナリオが上昇シナリオで1100円、下落シナリオで900円だった場合は、行使価格を1000円とすると1年後におけるそれぞれのシナリオのコールオプションの評価は上昇シナリオの時に100円、下落シナリオの時に0円ということになります。

この場合、上昇シナリオが発生したとすればオプションの保有者は権利行使を行うことができます。よってこの1年後の上昇シナリオにおける評価額は100円となります。逆に下落シナリオの場合、権利行使は行われません。よって2年後から割り引いて算出された一年後の値20円を下落シナリオの評価額とします。

これら2つの数値にリスク中立確率をかけて再びリスクフリーレートで割り引いてあげれば、現在価値を求めることができます。これがアメリカンオプションの価格の求め方です。

ヨーロピアンオプションの時と異なる点といえば、

権利行使されるシナリオの時はその時点のキャピタルゲインで評価するということです。

まとめ

ヨーロピアンオプションの価格決定理論に比べてアメリカンオプションの価格は求めるのが難しいです。いつでも行使できるという機能を持っているため、一般にアメリカンオプションの方がヨーロピアンオプションよりも高値で販売されています。

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お金をかけないサバイバル術の記事を書きます。温泉と餃子が好きです。プログラミングが得意です。趣味はメルカリです。